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1999年07月07日

指紋で個人を認識する装置

http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/pc/75944
生体情報を個人認証に使う装置がいろいろと登場してくるらしい。指紋を認識するパソコン用の装置はオムロンなどから発売される。価格は数万円程度に収束していく見込み。他にも筆跡を認識するWinCE用のソフトやら、MacOS
X で採用されることでも話題になっている Dragon systemsの音声認識技術等、いろいろと目白押しだ。そういえば長野オリンピックでも選手の ID card を廃止して網膜認識装置を導入したというのも記憶に新しい出来事である。
 こうした装置が登場することで期待されているのは,面倒なパスワード管理からの開放、ずさんな管理で弱まっている組織等のセキュリティの根本的な強化の実現などであるが、注意が必要だ。というのも、本質的に重要なのは個人の認証ではなく、個人に属す権利や資格の認証だからだ。
 特定の個人がシステムの特定の領域にアクセスする資格があるかどうか、ある商用サービスを受ける権利があるかどうか、特定の場所に足を踏みいれる権利があるかどうか、オリンピック選手としての資格があるかどうか…。
本来、権利や資格はあくまで個人に付随するだけのものであり、時と場合に応じて自由に受渡しができる状態になければならない。
 自分に属しているのが「個人」という存在だけで、権利や資格はすべて認証サイドに属している時代になるとしたらなんと不安な世の中になるだろうか。ヒトは札束を握り締めて喜びを感じたり、新車のキーを人に見せてはいい気分になったりするいきものなのである。買物をする権利を、新車を運転する権利を「個人」のサイドに引き付けておかないとヒトは困ってしまうのだ。
 その意味でクレジットカードなどは個人と権利の関係をなかなかうまい距離に保ってくれるソリューションになっていると言えるだろう。e-commerce も IC card を利用しているのは正しい選択だ。無くしてしまってもなんとかなるし、必要なときには他人と権利をそれなりにやりとりできる。
 確かに、指紋や網膜などによる生体情報認証も特定の用途では非常に有用なソリューションになるであろう。しかし、運用にはやはり行き届いた配慮と十分な工夫が必要であるのは単なるパスワード方式の認証と時と同じであることを忘れてはならない。ダカタのようにならないように…。
(注:ダカタはユマサーマン主演の映画。生体情報で完全に個人が管理される近未来の世界で「適合者」である他人のDNAを借りて「不適合者」のある男が自分を取り戻す様を描く)

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